父はきっとASD
私の父は診断こそ受けていませんが、おそらくASDです。
幼いころから、「なんでこの人はこんなに自分勝手で、すぐに機嫌が悪くなって、それでも全く悪びれていないんだろう」とずっと思っていました。
息子が生まれてから発達障害について調べるうちに、「ああ、父もADHDだったんだろうな」と気づいたのです。
私の対応 vs おじいちゃんの対応
そんな父と、グレーゾーンの息子が一緒にいると、とても面白い現象が起きます。
息子におかしな言動があったとき、私は普段、なぜそうなったのかを理解し、抑え込むのではなく、落ち着いてから教え諭すような接し方をしています。
でも、推定ADHDの父がそんな対応を取ることは、まずありません。
息子の特性を理解していますし、そのうえでそのままの息子を愛してくれていて、大好きだから一緒にいたいと思っている。
それでいて、媚びることはないんです。
あくまでいつもの自分のスタイルを貫き通します。
つまり、グレーゾーンの息子よりも、推定ADHDのおじいちゃんの方が「やりたいようにやる」度合いが強い。
長期休みに実家へ帰省するたびに、この面白い力関係を見ることができます。
いつも通り、出かける時間になってから準備を始める息子
今年の夏休み、帰省中にみんなでお昼ご飯へ出かけることになりました。
父は時間にとても厳しい人。
事前に伝えていた出発時間の5分前になると、「よし、出かけるぞ!」とみんなに声をかけました。
すると息子は「ちょっと待って〜」と。
いつもこうなんです。
出かける時間になってから準備を始め、しかもまったく急ぐそぶりを見せません。
本人的にはゆっくりしているつもりはないし、悪気はないらしいのですが、はたから見ていると、わざとゆっくり動いてイライラさせているようにしか見えない。
ここで「急げ!」「早くして!」と言おうものなら、「今、準備してんの!!」と逆ギレして何も解決しないので、私はいつも静観するしかないのです。
おじいちゃんの必殺技は「圧」
ところが、おじいちゃんは違いました。
息子が準備をし始めた瞬間から、廊下から部屋に向かって大声で言い続けたのです。
「おい! 行くぞ! もうそれでええって!! 勘弁してくれよー! 行く時間や、もうええ加減にせえ!! おい、はい!! 行くぞ!!」
そうしたら、いつもは15分くらい準備に時間をかける息子が、なんと数分で出てきたんです。
「おお~今日は早い!」とパチパチする私を横目に、息子はおじいちゃんに「はい、わかったよ、できたよ、行くよ」と言いながら玄関へ直行したのでした。
わからない人にも、圧でわからせる、従わせる。
それが父の必殺技(本人は意識していないでしょうが)です。
昭和的な指導、実は嫌いじゃない
今の時代、本人の意思を尊重する傾向があるので、強く指導することはNGとされています。
でも、この昭和的なやり方、私は嫌いではありません。
実際、息子もそれで学んでいる部分が大いにあると実感するからです。
かといって、自宅に戻って私や夫が同じことをやったら、間違いなく逆効果。
どうやら「どういう立場の人に言われるか」が重要なようです。
「人のふり見て、わがふり直す」効果にも期待
おじいちゃんの日頃の行いを見て、息子はたまにこうつぶやきます。
「おじいちゃん、めちゃくちゃだなあ」
その言葉に、私は密かに期待しています。
「人のふり見て、わがふり直す」——自分と似たタイプの人間を客観的に見ることで、何か気づくものがあるんじゃないかと。
だから帰省のたびに、なるべく二人だけの時間を作るようにしているのです。
推定ADHDの祖父と、グレーゾーンの孫。
この不思議で愉快な師弟関係を、これからも楽しみながら見守りたいです。


